Geo Islands W1127

Geo Islands

●大きく二つの調和がコンセプト

【要求されたボリュームと周辺環境との調和】
所々に江戸時代の名残りが見られる周辺環境の中で、巨大なボリュームを出現させることに対して違和感があり、住宅の機能を各々の行為毎に分節化し、それを住宅の中でパブリックな空間であるリビング、ダイニングで包括することで、小さなボリュームの集合体としての群造形で表現している。

【オーナー住戸と賃貸住戸との調和】
先のボリュームのことにも通じることだが、複数の賃貸住戸とオーナー住戸とで全体のボリュームを考えると、一般的には1階に賃貸住戸を配置し、2〜3階にオーナー住戸を配置しがちである。それではヒエラルキー、所謂格差が生まれてしまう。
私はいつも建築に於いて、如何にヒエラルキーを無くすかということを考えており、出来ればオーナー住戸と賃貸住戸とのヒエラルキーを作り出したくない。それには、この敷地の特徴からヒントを得ている。
敷地には様々な制約があるが、ポジティブな見方をすると、人間と同じように敷地の個性だと考えられる。
この敷地の個性は二方向が道路に接している。これによって、オーナー住戸と賃貸住戸とのプライバシーが保てる。

●地熱利用のコンセプト
賃貸部分は、クールチューブという外気を室内に取り込むためのダクトを約18mの長さに渡って地中に通すことで、外気の除湿を行なっている。
これは夏は涼しく、冬は暖かいという地中の自然の特徴を利用しており、この効果は、夏はマイルドな空気が常時室内に拡がって、玄関を開けた時の「ムッ」とする不快感が無くなり、冬は穏やかな空気で、誰もいない部屋を開けた時の「冷やっ」とする違和感が無くなるということで、体験した人によっては気が付かない場合があるのかもしれない。

ただ、機械設備(アクティブな)に頼った強い空調ではなく、人体に優しい空調を提供するという意味では、この気が付かないということが非常に大切なことである。
注意して欲しいのは、夏場と冬場の空調を全てまかなえるということではなく、春秋の中間期に於いて快適な温室環境を作り出しているということです。
大切なことは、機械に依存する空調を最低限に抑えるということで、これからの自然エネルギーを利用するということで、選択肢のひとつである。

用途住宅
所在地東京都
竣工年2011
構造木造(全般)

Housing / 個人住宅

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日比生寛史建築計画研究所

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